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昆虫綱鱗翅(りんし)目スズメガ科に属するガ。はねの開張55ミリメートル内外で、この科の種類のなかでは小形。体はウグイス色がかった緑色、腹部に赤帯と黒帯がある。はねはほとんど透明であるが、これは、羽化直後まで生えていた光沢のない鱗粉が、はねが硬化し、振動させたときに全部脱落するためである。アフリカからオーストラリアまで広く分布している種で、日本では関東地方より西に分布する。成虫は昼飛性で、日中きわめて活発に飛び、よくハチと誤認される。幼虫は庭木としてよく植えられるクチナシの葉を食べ、老熟すると落ち葉や土粒で粗い繭をつくって蛹化(ようか)する。若齢幼虫が葉の裏面にいて食害しているときは、同じような緑色をしているために、なかなかみつけにくい。夏に成虫がクチナシへ飛来し、葉に1個ずつ産卵する姿がみられる。クチナシは温暖地の山地に自生している植物であるが、品種改良のうえ、各地の庭園に広く植えられるようになったため、このガもそれに伴い都会地へ分布を広げている。