日最高気温が35℃以上の日。平成に入ると、日最高気温が35℃以上の日が東京などの大都市では20年前の約3倍となるなど、これを特別な名称でよぶべきという意見が強まったため、気象庁が天気予報や気象情報などで2007年(平成19)から使うようになった予報用語の一つ。日最高気温が25℃以上の日を夏日、日最高気温が30℃以上の日を真夏日、日最低気温が25℃以上の日を熱帯夜といい、猛暑日とともに暑さを示す指標となっている。
気象庁が猛暑日を定義した2007年の8月は、ラニーニャ現象の影響で日本付近では下降気流が発生し、勢力の強い太平洋高気圧が形成されて記録的な暑さとなり、8月16日に埼玉県熊谷(くまがや)市と岐阜県多治見(たじみ)市では40.9℃を観測し、1933年(昭和8)7月25日の山形市で観測した40.8℃を74年ぶりに更新した。また、西日本を中心に各地で35℃以上を観測したため、「猛暑日」ということばがマスコミ等で連日取り上げられたことで国民生活に定着した。将来、さらに暑くなれば、発汗作用による冷却ができなくなって、暑さに耐え難くなる37℃以上、あるいは、区切りがよい40℃以上に対して特別な名称が必要になる可能性がある。ちなみに、2022年(令和4)夏に、日本気象協会は日最高気温が40℃以上の日を酷暑日と命名した。
気温が上昇して猛暑日となるのは、高気圧に覆われて風が弱く、晴れて日射量が多いときである。猛暑日は、沿岸部よりも日中の気温が上昇しやすい内陸部や盆地で多い。山越えの高温な気流が吹き込むフェーン現象が重なっていることも多い。都市化によるヒートアイランド現象も猛暑日に至る高温化に関係している。
都市化の影響が比較的小さく、長期間の観測が行われている観測地点をもとに計算すると、1地点あたりの近年の猛暑日は年間約2.9日で、100年前の約0.8日の約3.7倍に増えており、都市化が進んでいる地方は、これより大きく増えている。おもな都市の平均猛暑日年間日数(統計期間:1991~2020年)は、旭川0.1日、札幌0.1日、仙台0.9日、東京4.8日、新潟3.6日、長野5.1日、名古屋15.0日、大阪14.5日、福岡8.1日、鹿児島6.1日、那覇0.2日である。海に囲まれている沖縄は、平均気温が高いものの、猛暑日日数となると東北よりも少ない。