内戦が続く南スーダン共和国の治安維持からインフラ整備までの国づくり全般を担う国際連合の派遣部隊。正式名称は国際連合南スーダン共和国ミッションで、英語の頭文字をとってUNMISS(アンミス)と略される。南スーダン共和国がスーダン共和国から独立した2011年、国連安全保障理事会決議第1996号に基づいて設立された。本部を南スーダンの首都ジュバに置き、トップは国連事務総長特別代表である南アフリカ外交官のニコラス・ヘイソムNicholas Roland Leybourne Haysom(1952― )が務め、軍事司令官はインド軍中将のモハン・スブラマニアンMohan Subramanianである(2024年末時点、以下同じ)。国連平和維持活動(PKO)の一環として、和平プロセスの監視、法・司法制度の支援、警察能力の強化、治安維持、市民の保護、人権・人道支援、道路・橋・空港などのインフラ整備にあたっており、UNMISSには市民保護のための武力行使が認められている。任期は当初2012年までだったが、1~2年ごとの延長を繰り返している。世界76か国が警察や軍事要員を派遣し、派遣規模は軍事・警察要員が約1万5400人、文民要員が約2300人、国連ボランティアが約400人。国連のPKOとしては、中央アフリカ共和国への派遣ミッション(MINUSCA)に次ぐ規模である。主力はルワンダ(派遣約2600人)、インド(同2400人)、ネパール(同1800人)、バングラデシュ(同1600人)の部隊である。日本は、2012~2017年に陸上自衛隊の施設部隊(第1次~第11次隊)各約350人を派遣し道路整備などにあたったが、その後は、軍司令部への4~6人の派遣にとどめている。
南スーダン共和国は20年以上にわたる南北紛争を経て独立した新しい国で、UNMISSは、スーダン共和国のPKOにあたった国連スーダン派遣団(UNMIS)を引き継いで発足した。PKO協力法(正式名称「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」平成4年法律第79号)で非戦闘地域でのみ活動すると定められている日本部隊であるが、2016年以降、政府軍と反政府勢力との紛争が激化し、実際には危険地域へ派遣されたとの懸念が高まった。日本部隊作成の日報には「戦闘発生」との文言が使われていたが、日報の開示請求に対して、当初防衛省は日報を廃棄したことを理由として不開示を決定。しかしその後、実際には電子データで保管されていたことが発覚し、2017年(平成29)に防衛大臣の稲田朋美(いなだともみ)(1959― )が辞任するに至った。これを受けて内閣総理大臣の安倍晋三(あべしんぞう)は派遣部隊の撤収を決め、同年5月撤収を完了した。