文部科学省の「教育支援センター整備指針(試案)」(2019年10月)によれば、「不登校児童生徒の集団生活への適応、情緒の安定、基礎学力の補充、基本的生活習慣の改善等のための相談・指導(学習指導を含む)を行うことにより、その社会的自立に資することを基本とする」施設である。子どもたちは、従来通っていた学校に籍を置きながら教育支援センターに通う。前身は1990年(平成2)に事業が始まった適応指導教室で、2003年度(平成15)から正式名称を教育支援センターに変更した。
長らく学校復帰を目ざす施設として理解されてきたが、2017年3月31日付の「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針」によって、「支援に際しては、登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」という方向性が示された。これにより、学校復帰を目ざす施設ではなく、「緩やかな居場所」となり、子どもたちが「主体的な社会的自立」を目ざす施設へと転換しつつある。その内実は、ICT(情報通信技術)などを活用した教科学習、運動や体験活動、創作活動など多岐にわたっており、不登校状態にある期間でも「学び」に空白をつくらず、子どもひとりひとりにあった支援を展開しようとしている。設置・運営については都道府県や市町村の教育委員会などが学校以外の場所に設置し、定員10人に対して少なくとも2人を目安に指導員を配置する。なお、教育支援センターに通った日数は、在籍校の出席日数として扱われる。2023年(令和5)時点で全国に1743か所の教育支援センターがある。不登校の児童・生徒の数は、1990年代以降急激に増加し、2023年度における小中学校の不登校の児童・生徒数は34万6482人となっている。