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日本大百科全書(ニッポニカ)

中間貯蔵施設

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中間貯蔵施設
ちゅうかんちょぞうしせつ

汚染土壌や使用済み核燃料などの放射性廃棄物を、最終処分や再利用するまで一定期間保管する施設。日本では、東京電力福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の汚染土などを管理・保管する「福島の中間貯蔵施設」と、国内の原子力発電所から出た「使用済み核燃料の中間貯蔵施設」をさす場合の二つに分かれる。一時的とはいえ放射性物質を保管するため、いずれも立地・建設に対する地元住民の反対や、半永久的保管場所になるのではないかとの懸念が伴うという共通点をもつ。

 福島の中間貯蔵施設は、2015年(平成27)から福島第一原発周辺の福島県大熊(おおくま)町と双葉(ふたば)町にまたがる1600ヘクタールに建設され、2017年に稼働した。放射性物質の受入・分別管理施設、減容化(焼却)施設、土壌・廃棄物貯蔵施設からなり、放射性物質汚染対処特別措置法(正式名称「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」平成23年法律第110号)に基づき、除染で取り除いた土壌、瓦礫(がれき)、草木、落ち葉・枝、道路側溝の泥などのほか、1キログラム当り10万ベクレルを超える高濃度放射性物質を含む焼却灰や下水汚泥などを貯蔵している。福島県内の廃棄物などの推定量から中間貯蔵施設の貯蔵能力は約2200万立方メートルとされており、2024年(令和6)末までに約1400万立方メートルが搬入された。総事業費は約1兆円。建設・維持管理は国が責任を負い、周辺大気や地下水の放射線量を常時モニタリング監視している。中間貯蔵・環境安全事業株式会社法(平成15年法律第44号)付帯決議に基づき、2045年までに福島県外へ移すことになっているが、最終処分場は未定である。

 原子力発電所の使用済み核燃料の中間貯蔵施設は高レベル放射性廃棄物施設ともよばれ、原発から出た使用済み核燃料を再処理するまで最長50年間、貯蔵容器(キャスク)で冷却保管し、その後、自然対流する空気で冷やす(乾式貯蔵方式)。使用済み核燃料は、2024年末時点で約2万トンに達し、原発内の貯蔵プールでの冷却一時保管(湿式貯蔵方式)は限界に達しつつある。このため東京電力ホールディングスと日本原子力発電は、共同出資会社リサイクル燃料貯蔵(RFS)を通じて青森県むつ市に中間貯蔵施設「リサイクル燃料備蓄センター」(貯蔵能力5000トン)を設け、2024年に使用済み核燃料の搬入を開始。関西電力と中国電力は共同で山口県上関(かみのせき)町に中間貯蔵施設の建設を計画しており、東北電力、中部電力、四国電力、九州電力などは既存原発内に乾式貯蔵施設を設けて一時保管する計画である。ただし、使用済み核燃料を再処理する工場の稼働のめどが立たず、使用済み核燃料は中間貯蔵施設にたまる一方になっている。

[矢野 武]2025年4月15日

©SHOGAKUKAN Inc.

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