硬骨魚綱ヒメ目ナガアオメエソ科に属する海水魚。土佐湾、南シナ海、ジャワ海に分布する。体は細長く、円筒形で、尾部で側扁(そくへん)する。頭部の外郭はゆるく湾曲する。吻(ふん)は短くて丸く、吻長は眼径より著しく短い。目は著しく大きくて高位にあり、背縁は頭頂に達する。両眼間隔域は狭く、わずかにくぼむ。口はやや斜めに開き、上顎(じょうがく)の後端は瞳孔(どうこう)の中央部下に達する。下顎の先端は上顎より前に出る。上下両顎の歯は小さく、歯帯を形成する。舌上に1~2列の小さい犬歯状の歯がある。体は大きい円鱗(えんりん)で覆われる。頬(ほお)には2列の鱗(うろこ)があるが、ほかは無鱗。側線は体の中央部をまっすぐに走る。側線有孔鱗数は40~42枚、側線上方鱗と下方鱗はそれぞれ2.5枚。背びれは10~11軟条で、起部は体の前3分の1よりやや後方にある。脂(あぶら)びれ(背びれの後方にある1個の肉質の小さいひれ)は著しく小さくて、臀(しり)びれの最後の鰭条(きじょう)の上方にある。臀びれは7~8軟条で、きわめて小さい。胸びれは頭長よりわずかに長く、背びれ基底(付け根の部分)の後端をすこし越える。腹びれは背びれ基底の中央部下方から始まり、胸びれよりも著しく短い。体は銀色で、体の側面に沿って3個の大きい黒斑(こくはん)と2~3個の小さい黒斑が交互に並び、背側面には6個のオリーブ色の斑点がある。背びれと腹びれの先端部は暗色。尾びれの上葉と下葉の背縁と腹縁に沿って暗色帯が走る。水深150~250メートルの大陸棚斜面の上部にすみ、底引網で漁獲される。最大体長10センチメートルほどにしか達しない。練り製品の原料などにされる。
本種はモンアオメエソP. japonicusに似るが、モンアオメエソは腹びれ全体が暗色であること、尾びれの上下両葉の後半が暗色であることなどで本種と区別できる。
本種はアオメエソ科Chlorophthalmidaeアオメエソ属Chlorophthalmusに入れられていたが、2002年(平成14)に魚類研究者の佐藤友康(さとうともやす)(1973― )と中坊徹次(なかぼうてつじ)(1949― )はナガアオメエソ科Paraulopidaeを創設。本種およびその近縁種(モンツキアオメエソ、イトヒキアオメエソ、モンアオメエソなど)の属名をアオメエソ属からナガアオメエソ属に変更して、この属に含まれるすべての種をナガアオメエソ科に含めた。