硬骨魚綱ヒメ目ナガアオメエソ科に属する海水魚。沖縄舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)(トラフ)、フィリピン諸島、マラッカ海峡、インドネシア南部、オーストラリア南東部の海域に分布する。体は細長く、背びれの前部の横断面はおよそ四角形で、尾柄(びへい)の後端で側扁(そくへん)し、尾柄高はきわめて低い。頭部の外郭は吻部(ふんぶ)で強く湾曲する。吻は短くて丸く、幅が広い。目は著しく大きくて、吻長の1.4~1.6倍。両眼間隔域は広く、わずかにくぼむ。口はやや斜めに開き、上顎(じょうがく)の後端は瞳孔(どうこう)の中央下付近に達する。上下両顎歯は小さい円錐歯(えんすいし)で、歯帯をなす。上顎の内側の歯と下顎の歯は肥大する。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)におよそ2列、口蓋骨に2列の歯があり、内列歯は肥大する。舌上の両側に数本の犬歯状歯がある。舌の先端は丸い。鰓弓(さいきゅう)の下枝に14~17本の鰓耙(さいは)がある。体は大きい円鱗(えんりん)で覆われる。頬(ほお)には鱗(うろこ)があるが、頭の下面は無鱗。側線は体の中央部をほとんどまっすぐに走る。側線有孔鱗数は40~44枚、側線上方鱗と下方鱗はそれぞれ3.5枚。背びれの起部は腹びれ基底(付け根の部分)のわずかに前にある。背びれは11軟条。脂(あぶら)びれ(背びれの後方にある1個の肉質の小さいひれ)は臀(しり)びれの基底後端の上方にある。胸びれは14軟条で短く、先端は背びれの基底後端を越えない。胸びれ長は頭長の約60%。腹びれは背びれ第2軟条下方から始まり、その長さはおよそ頭長に等しい。尾びれは深く二叉(にさ)する。体は淡灰色または緑褐色で、体の背部に5個の白色斑(はん)がある。最前のものは後頭部と背びれの中間に、2番目と3番目のものは背びれの下方に、4番目のものは背びれと脂びれの中間に、そして最後のものは尾柄部にある。さらに背びれの後方の体の背面に1個の同じような斑紋がある。体側には腹びれの先端近くの上方および臀びれの後部付近の上方に大きい暗色斑、また、側線の下方に沿って小さい4~5個の暗色斑がある。口腔(こうこう)内は黒い。すべてのひれは淡色。水深190~290メートルにすみ、まれに底引網で漁獲される。最大体長13センチメートルになる。
本種は外観および、体の背部に5個の白色斑あることでモンアオメエソP. japonicusに似るが、モンアオメエソは胸びれが長く、19~20軟条であること、腹びれが短いこと、側線上方鱗と下方鱗がそれぞれ2.5枚であることなどで本種と区別できる。