ジャパンナレッジ
EU(ヨーロッパ連合)域内の重大な国際犯罪の捜査をEU諸国が協力して実効的に進めるために、EU各国の警察間の協力を支援し、また犯罪情報の収集拠点(ハブ)となって各国警察間の情報共有を促進するために置かれた専門機関。ユーロポール(Europol)ともよばれる。ユーロポール自体には捜査権限はない。所在地はオランダのハーグ。当初は、1999年にユーロポール設立条約により、政府間組織としてEUとは別に設置された。その後、EU条約の改正を経て2010年に全面的にEUの専門行政機関となった。機構長のもと1400名を超える職員、170名の犯罪分析官を擁し、さらにEU各国および日本を含む域外連携17か国の連携職員264名がユーロポールに出向している(2025年時点)。
違法薬物密輸、資金浄化、人身売買、サイバー犯罪、テロ活動、組織的詐欺、ユーロ通貨偽造などの犯罪を主たる対象とする。機構内は重点的対策領域別に、「捜査・分析」、「重大・組織犯罪」、「サイバー犯罪」、「テロ対策」、「金融・経済犯罪」の各センターに分かれ、犯罪情報の収集・共有と分析を通してEU各国警察の捜査を支援している。集積された国際犯罪情報は160万件を超える(2025年時点)。