ジャパンナレッジ
身体症状を中心とする神経症や心身症をおもな対象とする診療科名。心身医学的な診療および研究が行われている。一般の内科的治療ばかりでなく、積極的に心理療法(精神療法)も行う内科と位置づけられており、日本で最初に心療内科を標榜(ひょうぼう)したのは九州大学医学部である。その礎(いしずえ)を築いたのは池見酉次郎(いけみゆうじろう)(1915―1999)で、池見は九州帝国大学(現、九州大学)医学部を卒業後、1952年(昭和27)にアメリカへ留学した際に心身医学的治療の実際をみてその重要性を痛感し、これを学んで帰国。そして1963年6月から精神身体医学(心身医学)の臨床講座を開き、すでに東京大学医学部で標榜していた物療内科(理学診療科)に対比させる意図もあって、九州大学医学部に心療内科を設置し、初代教授に就任した。
心療内科では、医師をはじめとした医療者(看護師、臨床心理士、ソーシャル・ケースワーカー、作業療法士など)が、それぞれの専門性を生かして患者にかかわり、有機的なチームワークのもとに診療を行っている。現在では、臨床各科の疾患一般についても広く心身両面からの総合医学的立場から診療が行われるようになっている。