硬骨魚綱ヒメ目エソ科に属する海水魚。太平洋側では福島県沿岸、日本海側では若狭(わかさ)湾から九州南岸、東シナ海、朝鮮半島西岸と南岸、済州島(さいしゅうとう)、スマトラ島南岸などに分布する。体は細長く、円筒形。頭は縦扁(じゅうへん)し、背面は平坦(へいたん)。吻(ふん)は短く、吻長は眼窩(がんか)径よりも短い。口は大きく、上顎(じょうがく)の後端は目の後縁をはるかに越えて、後方に伸びる。下顎は上顎よりも短い。上下両顎の歯は鋭く、数列に並び、内側ほど大きく、いずれも内側に倒すことができる。口蓋(こうがい)部には左右各側に2列からなる歯帯があり、外列の外翼状骨歯は前部で2列、内列の内翼状骨歯は5列ほどの幅広い歯帯が並ぶ。鋤骨(じょこつ)(頭蓋床の最前端にある骨)の各側には1~4本の小歯があり、舌上には絨毛(じゅうもう)状の歯帯がある。鱗(うろこ)は円鱗(えんりん)で、はがれやすい。側線鱗数は54~56枚。脊椎骨(せきついこつ)数は51~54個。背びれの前方におよそ19~21枚の鱗が並ぶ。背びれは10~12軟条で、吻端よりも脂(あぶら)びれ(背びれの後方にある1個の肉質の小さいひれ)の近くから始まる。雄の第2軟条は成長に伴って長く伸長し、体長23~26センチメートルの個体では頭長の85~95%になり、長いものでは倒すと脂びれに達する。臀(しり)びれは10~12軟条で、脂びれの下方にあり、小さい。胸びれは比較的短く、腹びれの起部に達しない。体は背側部では黄褐色で、腹部は白色。尾びれの上縁に暗色の点列がなく、下葉は起部から先端まで暗黒色である。東シナ海では水深40~200メートルの砂泥底や泥底にすみ、ホタルジャコ、ワニギス、タチウオ、アジ類などの魚類、アカエビ、サルエビなどのエビ類、ケンサキイカ、ジンドウイカなどのイカ類を食べる。一般に、小形魚はおもにエビ類を、大形魚はおもに魚類を食べ、成長にしたがって食性の変化がみられる。産卵期は5月ころと推定され、北ほど遅い傾向がある。卵は分離浮性。卵径は1.1~1.3ミリメートルで、表面に亀甲(きっこう)模様がある。体長12.7ミリメートルの仔魚(しぎょ)では体が細長く、肛門(こうもん)から前方へ6個の大きい黒色素胞(こくしきそほう)が並ぶ。尾叉長(びさちょう)は1年で11~20センチメートル、2年で22~31センチメートル、4年で34~46センチメートル、6年で39~53センチメートルになると推定されているが、研究者によって推定値の幅は大きい。最大体長は約65センチメートルになる。底引網で漁獲され、高級かまぼこの原料にされる。
本種はマエソによく似るが、マエソは尾びれの下葉が黒くないこと、本種より側線鱗数と脊椎骨数が少ないこと(それぞれ49枚以下と48個以下)などで区別できる。