ジャパンナレッジ
シンガポールの第3代首相、政治家。初代首相リー・クアンユーの長男。ナショナル・ジュニア・カレッジを経て1971年にシンガポール国軍入隊。大統領奨学金と国軍海外奨学金を得てイギリスのケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで学び、1974年に卒業。帰国後は国軍幹部として活躍しつつ、1978年にはアメリカ陸軍指揮幕僚大学で学び、1980年にはアメリカのハーバード大学ケネディスクールで行政学修士号を取得。1983年には史上最年少で准将に昇進する。
1984年に国軍を退役し、同年の国会総選挙で初当選して、通商・国防担当国務相(次官級)に就任。1985年に政府経済委員会委員長、1986年に通産相代行、1987年に通産相兼第二国防相に就任。1990年のゴー・チョクトンGoh Chok Tong(1941― )内閣成立に伴い副首相に就任し、2001年には財務相を兼任する。
2004年、第3代首相に就任して既存政治の延長線上で安定した政権運営を行うが、2011年国会総選挙では一党絶対優位体制を支えてきた与党「人民行動党」(PAP)の得票率が建国以来最低となる。このため2010年代を通じて、父親のつくりあげた国家発展を最優先させる統治モデルの修正に着手し、より民意を重視した政治への転換を図る。2024年にローレンス・ウォンLawrence Wong(1972― )を後継者として首相職を退任し、後見役である上級相に就任した。