急速な少子化に対応し、育児と仕事の両立が可能な環境を整備・充実させることを目的とした法律(平成15年法律第120号)。2005年(平成17)4月施行。当初10年間の時限立法であったが、10年ごとに延長を繰り返している(2025年時点で2034年度末まで延長)。「次世代法」などと略されることもある。国、自治体、民間企業などに、育児と仕事を両立させるための支援策や雇用環境の整備についてとるべき必要事項を定め、国の「行動計画策定指針」に沿って、民間企業、自治体、国や自治体の機関、それぞれに「行動計画」の策定を求めている。とくに、2011年4月から従業員数101人以上の企業の事業主には、育児休業取得率の実績を踏まえた数値目標や、両立支援制度の導入などを盛り込んだ行動計画の策定・届出・公表・従業員への周知を義務化(100人以下の企業は努力義務)。また、2007年からは厚生労働大臣が一定水準を満たした企業を子育てサポート企業として認定する制度を導入し、税制上の優遇措置などを与えて、企業に対し両立支援制度の普及を促す政策をとっている。
企業には実際の状況を把握したうえで、行動計画に、①年次有給休暇の目標取得率、時間外・休日労働時間の数値目標、育児休業を取得する男性・女性数などの数値目標、②育児・介護休業法の規定を上回る休暇制度の導入、育児短時間勤務や育児フレックスタイム制度の導入、保育施設や病児・病後児保育施設の整備などの具体策、などを盛り込むよう求めている。
子育てサポート企業としての認定制度には、男性の育児休業取得率30%以上などの9基準を満たした企業の認定制度(愛称「くるみん」)、男性の育児休業取得率50%以上など一段と高い11基準を満たす特例認定制度(愛称「プラチナくるみん」)、男性の育児休業取得率10%以上など基準が緩やかな認定制度(愛称「トライくるみん」)があるが、以上三つのレベルそれぞれの認定企業のうち、不妊治療支援制度の充実した企業をプラス認定する制度(愛称「くるみんプラス」)もある。認定を受けると、認定マークを広告、商品、名刺などにつけ、企業イメージの向上や優秀な人材の確保につなげることが期待できる。さらに、こども家庭庁から両立支援制度導入のための助成を受けられるほか、税制上や公共入札時の優遇措置がある。認定企業は2025年(令和7)2月末時点で、くるみんが4943社、プラチナくるみんは714社、トライくるみんは3社、くるみんプラスは128社。ただし、女性社員の過労自殺が起きた電通が認定企業であった(2016年11月に辞退)ことなど、認定が不適切であるとの批判があり、厚生労働省は基準を頻繁に改定し、認定年や認定回数(☆の数で表示)をマークに明示することで、制度の厳格運用を目ざしている。