硬骨魚綱キンメダイ目カンムリキンメダイ亜目クジラウオ上科アカクジラウオダマシ科の海水魚。北海道の太平洋沖、東北地方三陸沖、千島(ちしま)列島海域、沖縄舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)(トラフ)、オーストラリア北西岸、マダガスカル近海、ハワイ諸島海域、グリーンランド海域、メキシコ湾、スリナム海域など太平洋、インド洋、大西洋の広範囲に分布する。体は長楕円(ちょうだえん)形で側扁(そくへん)し、腹部付近でもっとも高い。体長は体高の約3.6倍。尾柄(びへい)は低くて、高さは長さのおよそ2分の1倍。頭の背面はほとんど平坦(へいたん)。吻(ふん)は長くて幅が広く、頭長は吻長の約2.6倍。目は著しく小さく、頭長は眼径のおよそ13倍。目は眼窩(がんか)の奥にあり、眼窩の周囲には皮膜が発達し、管状になる。両鼻孔(びこう)は吻端と目の中ほどに位置し、前鼻孔は管状で、後鼻孔は裂孔状。口は大きく、やや斜めに開き、その後端は目を著しく越えて後方へ伸びる。上下両顎(りょうがく)の歯は著しく小さく、歯帯を形成し、先端が内側に曲がる。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)に円形の小歯帯がある。口蓋骨には歯がない。鰓耙(さいは)は細長く、後縁に小棘(しょうきょく)をもち、最長の鰓耙はその鰓葉よりも著しく長い。鰓耙数は上枝に4~6本、下枝に14~16本。体と各ひれは微細な小棘で覆われ、それらの表面はビロード状である。側線は溝状で、鰓孔上端から尾びれ基底(付け根の部分)までまっすぐに走る。側線孔は明瞭(めいりょう)で、28~33個。背びれは20~22軟条で、体の後部に位置し、第1軟条はきわめて細くて短く、後方に向かって長くなる。臀(しり)びれは15~17軟条で、背びれの基底中央部下方から始まる。胸びれと腹びれはきわめて小さく、胸びれは13~14軟条で、吻端から臀びれ起部までのおよそ中間に、腹びれは6軟条で、吻端から尾びれ基底のおよそ中間に位置する。体と各ひれは一様に赤橙(せきとう)色で、腹びれと鰓蓋(さいがい)の内側は黒い。水深900~1400メートルにすむ。
アカクジラウオダマシ科は体と各ひれが細かな小棘で覆われ、ビロード状であることで、同じカンムリキンメダイ亜目のクジラウオ科およびアンコウイワシ科と容易に区別できる。なお、アカクジラウオダマシ科には世界から本種しか知られていない。