硬骨魚綱キンメダイ目カンムリキンメダイ亜目クジラウオ上科クジラウオ科の海水魚。北海道知床(しれとこ)半島のルシャ川沖、南鳥島近海に分布する。体はクジラ形で、前半部がよく発達して高く、後半部で細くなり、尾柄(びへい)の後端で著しく低い。体高は体長のおよそ3分の1。目は著しく小さい粒状で、頭部の後ろ3分の1の頭部背縁と口の中間に位置する。吻(ふん)は著しく長くて、頭長のおよそ3分の2。吻端は丸い。口は著しく大きく、水平に開き、その後端は頭の後縁近くまで伸びる。上下両顎(りょうがく)の歯は小さく、縦列の歯帯を形成する。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)に小さい円盤状の歯帯がある。口蓋骨歯は上顎の歯帯の内側を並行して走り、その幅は上顎の歯帯の半分。鰓耙(さいは)は歯板(板状になった鰓耙で、表面に多数の小さい歯をもつ)で、連続している。太い溝状の側線が鰓孔上端から尾びれ基底(付け根の部分)まで走り、側線孔は23個。背びれは17~18軟条で、目と尾びれ基底の間の後ろ3分の1付近から始まり、その基底は長く、頭長のおよそ3分の2。臀(しり)びれは18軟条で、背びれとほとんど同形で、体の後部に上下対(つい)をなして位置する。胸びれは15軟条で小さく、口の後下方にある。腹びれはない。肛門(こうもん)は臀びれの起部直前に開く。体と各ひれは一様に暗赤色。水深350~1000メートルの中深層にすむ。知床沖でとれた個体の体長は約40センチメートルであった。
本種は体高が著しく高いこと、鰓耙の歯板が連続していることなどでクジラウオ科の他種と容易に区別できる。本種が属するオオアカクジラウオ属の分類はオーストラリア博物館のパクストンJohn Richard Paxton(1938―2023)によって研究されていたが、オオアカクジラウオの学名はまだ決定していない。