ジャパンナレッジ
硬骨魚綱キンメダイ目カンムリキンメダイ亜目クジラウオ上科クジラウオ科の海水魚。青森県の太平洋沖、台湾近海など太平洋、インド洋、大西洋に分布する。体は著しく細長く、側扁（そくへん）し、臀（しり）びれの起部付近でもっとも高く、体長は体高の約5.5倍。尾柄（びへい）は低くて短く、尾柄高は頭長のおよそ6分の1。体の背縁は後頭部から背びれの起部の間で深くくぼみ、背びれの基底（付け根の部分）部は盛り上がる。体の腹縁は背部のそれとほとんど同形。頭は小さく、頭長は体長のおよそ4分の1。吻（ふん）は長くてとがる。目は著しく小さく、眼径は吻長のおよそ8分の1。口は著しく大きく、斜めに開き、その後端は前鰓蓋骨（ぜんさいがいこつ）の縁辺近くまで伸びる。上下両顎（りょうがく）の歯は著しく小さく、幅広い歯帯を形成する。鋤骨（じょこつ）（頭蓋床の最前端にある骨）に小さい円盤状の歯帯がある。口蓋骨歯は上顎の歯帯の内側を並行して走り、その幅は上顎の歯帯のおよそ半分。鰓耙（さいは）は歯板（板状になった鰓耙で、表面に多数の小さい歯をもつ）で、鰓葉の発達は悪い。太い溝状の側線が鰓孔上端から尾びれ基底まで走る。背びれは29～37軟条で、目と尾びれ基底の中間付近から始まり、その基底は長く、頭長のおよそ1.3倍。臀びれは26～34軟条で、背びれ第5軟条下方から始まり、背びれ基底の後端下方で終わる。胸びれは20～21軟条で、小さい。腹びれはない。肛門（こうもん）は臀びれの起部直前に開く。体は一様に橙赤（とうせき）色で、各ひれは暗色。日本からは青森県の太平洋沖の水深約1200メートルから底引網でとれた1個体（体長16.6センチメートル）のみが知られている。普通は水深約700～1200メートルの中深層や漸深層にすむ。最大体長は約25センチメートル。
本種は体高が著しく低いこと、背びれと臀びれの基底長が長いこと、背びれと臀びれの軟条数が多いことなどでクジラウオ科の他種（背びれが22軟条以下、臀びれが18軟条以下）と容易に区別できる。