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日本大百科全書(ニッポニカ)

ヒートポンプ

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ヒートポンプ
ひーとぽんぷ

空気や水などの低温の物体から吸収した熱を、外から動力を加えることで、高温の物体に与える機械。熱ポンプともいう。通常、熱は、高温側から低温側に伝わるものであるが、ヒートポンプは外部から動力を加えることによって、その逆を実現し、低温側から、高温側に熱を与えることができる。ヒートポンプは熱のポンプであり、これは、水が通常では高い位置から低い位置に流れるところを、外部から動力を加えることによって低い位置から高い位置に流すことができる水のポンプと類似する。

 ヒートポンプは、1800年代にオーストリアのピーター・リッター・フォン・リッティンガーPeter Ritter von Rittinger(1811―1872)によって初めて開発された。ヒートポンプを用いると、低温側は熱を奪われて冷やされ、高温側は熱を得て、加熱されることとなる。低温側を用いれば、冷凍機や冷蔵庫、エアコンの冷房用としての利用が可能であり、高温側を用いれば、エアコンの暖房用や給湯機としての利用が可能となる。ヒートポンプはマイナス100℃の低温域から200℃の高温域まで広範囲な利用を可能とする。

 ヒートポンプは、蒸発器、圧縮機、凝縮器、膨張弁を主要要素として構成され、機器内を動作流体である冷媒が循環している。低温側の流体である空気や水は、蒸発器で気化することとなる低温・低圧の冷媒に間接的に熱を奪われ、冷却される。熱を奪って気化した冷媒は、電力で駆動される圧縮機へ送られるとともに圧縮され、高温・高圧となる。凝縮器では、この冷媒により高温側の流体である空気や水などが加熱される。ここで冷媒は液化する。その後、膨張弁を通過することにより、低温・低圧となり、ふたたび蒸発器に送られる。この動作を継続することによって機器の連続運転が可能となる。機器全体としてみれば、低温側の流体から熱を奪い、外部から電力を加えることによって高温側の流体を加熱していることとなる。

 給湯機として用いる場合には、エコキュートという名で商品化されている。低温側の大気中の空気の熱を利用して高温側の湯を加熱生成する給湯システムの愛称である。エコキュートは関西電力の登録商標であるが、各電力会社や給湯機メーカーも使用している。このように空気の熱を使うことから再生可能エネルギーを利用した機器ともみなされている。エコキュートは、冷媒として自然冷媒である二酸化炭素を利用している。10MPa(メガパスカル)程度の高圧状態で約100℃の高温になる二酸化炭素の特性を利用して水を沸かす装置で、ヒートポンプユニットと貯湯ユニットで構成されている。ヒートポンプユニットでは、最高90℃ほどの熱湯が生成でき、貯湯ユニットで貯蔵し、従来の電気温水器と同様の方法で蓄える。機器の駆動により消費電力が削減され、発電所などで間接的に排出される二酸化炭素の量を大幅に削減できる大きな利点がある。このため、脱炭素化を可能とする熱利用技術として世界的に注目されている。

[齋藤 潔]2025年8月19日

©SHOGAKUKAN Inc.

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