政治体の公共政策に対して、特定の利益や関心をもとに意見を主張し(利益表出)、政策(施策)決定の過程に影響力を行使しようとする組織、ならびにその背後にある集団。組織化の程度や方法は多様である。利益集団、利害集団、関心集団と訳される場合は組織されていない場合も含み、利益団体、圧力団体、ロビーと訳される場合は専門的な組織体をさす。具体的には、労働組合、経済団体、農業団体、専門家団体は歴史的に早期に登場し、NGO(非政府組織)やNPO(民間非営利組織)、福祉団体や環境団体などアドボカシー活動(政策提言、権利の擁護や支援などの活動)に力点のある組織は遅れて登場している。企業そのものや官僚制内部の集団も、公共政策に影響力を行使する場合は同様にインタレスト・グループに含まれる。影響力行使の対象は、地方政府から国の機関、政党から国際組織まで、公共政策に関連する政治体すべてが含まれる。なお、企業や学校などの組織の政策に関しては、ステークホルダーとよばれる利害関係者が存在するが、インタレスト・グループは政治体に関係するステークホルダーが政策に影響力を行使しようとするものとみることができる。
インタレスト・グループは、19世紀末から20世紀初頭にかけて西欧先進国において登場し、第二次世界大戦後、世界的に展開した。その台頭の主要原因は、①普通選挙の普及にともなう利益政治の比重の増大、②政党の大衆組織化の進展、③政府機能の拡大による行政国家化、の3点に求められる。インタレスト・グループの存在は、多元的な民主政治の維持と活力、その発展にとって欠くことができないが、私的な結社であるインタレスト・グループの利益追求と社会が全体としてもつ公共利益との均衡を図ることが課題である。
21世紀に入り、利益表出や影響力行使の方法が、対面的な集団活動から、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などインターネット上での活動に力点が移動してきている。また国内政治中心の活動から、国境を越えたトランスナショナルな活動へと広がっている。こうした新しい活動を組織的に支えているのも、インタレスト・グループであることを忘れてはならない。