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新版 能・狂言事典

刊行のことば

新版 刊行のことば

能・狂言は中世に生まれ育ち、近世に洗練を遂げ、明治維新、関東大震災、第二次世界大戦の混乱による変動期を経て、そのつど復興し、再生してきました。古典芸能であると同時に、現代に生きる演劇の一翼を担うものでもあります。
明治・大正の能は、とかく一部の人々に特権的に、あるいは尚古趣味の対象として愛好されていました。しかし、昭和に入ると、新しい考え方をもった意欲的な能楽師や学者・文化人の努力もあって、しだいに広い観客層を獲得するようになりました。謡や仕舞、囃子の稽古を通して能に接する人々は昔も今もたくさんいますが、加えて戦後は、稽古とは別に、能・狂言を鑑賞し楽しむ観客がふえてきました。現代演劇や現代音楽の創造に携わる人たちも、深い関心を寄せています。外国人で能や狂言を愛好し、専門的に研究する人も、今や珍しくなくなりました。一九八三年(昭和五八)東京・渋谷区千駄ヶ谷に国立能楽堂が開設し、その後、相ついで各地に能楽堂が新設されました。
世阿弥の名が、その伝書の存在とともに一般に知られるようになったのは吉田東伍『世阿弥十六部集』が世に出た一九〇九年(明治四二)であり、野上豊一郎『能 研究と発見』、佐成謙太郎『謡曲大観』の刊行は一九三〇年(昭和五)、能勢朝次『能楽源流考』の刊行は一九三八年ですから、本格的な能楽研究の歴史は決して長くはないのですが、戦後の研究は飛躍的な進展をみせています。新しい資料の発見、多角的な視野からの考察によって、能楽史・能楽論の研究はもとより、個別の作品研究、作者研究、演出史研究も、より深く精緻になりました。近年は音楽学の面からも新しい研究が生まれつつあります。
しかし、このように能・狂言の公演が活況を呈し、研究の成果が上がっているわりには、まだまだ人々の認識が不足しているのも事実です。専門的な知識、正確な情報が、学術論文や能楽ジャーナリズムの域にとどまっていて、広く一般に浸透していかないのは、研究者にも責任があります。これまで適切な入門書、手引書が少なかったのも、その証左でしょう。能・狂言は、本来、いわゆる約束ごとや慣習にとらわれずに、自由に鑑賞できるものだと思います。しかし、なんといっても、永い年月、特殊な環境の中で育まれたために、人々の理解をはばむような側面があったことも否定できません。
この事典は右のような見地に立ったうえで、能・狂言の鑑賞に役立つ基礎知識を提供するとともに、研究面でも活用できるように企画し、一九八七年に初版が刊行されました。その後の能楽界の変化と研究の進捗に鑑み、一九九九年に新訂増補版を刊行、今回さらに増補・改訂をほどこし新版として刊行する次第です。
取り上げた項目は、能・狂言の作品をはじめ、歴史用語、演出用語から現代人名に至るまで多岐にわたっています。また、執筆は、能・狂言の研究・評論、制作に携わる広範囲の方々にお願いしました。それぞれの項目にとっての最適な執筆者が得られたことを感謝いたします。また、写真や資料を提供してくださった演者の方々および関係機関にも御礼申し上げます。この事典が多くの方々に活用していただけることを願ってやみません。
二〇一一年一月
西野 春雄 羽田 昶
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