1. あら‐まほ
し【有─】
日本国語大辞典
ぞ、いとあらまほしきを、何事もせんに、いとびんなかるべければ、かしこへものしなん」*源氏物語〔1001~14頃〕野分「これを御覧じつきて里居(さとゐ)し給ふほど
2. あら-まほ・し【有らまほし】
全文全訳古語辞典
〔一〕[連語]あることが望ましい。あってほしい。 「万のしわざは止めて、いとまあるこそ、めやすく、あらまほしけれ」〈徒然草・151〉(老人になったら)すべての仕
3. 安良満保志(著作ID:616386)
新日本古典籍データベース
あらまほし 阿良麻保志 有間星 中井 履軒(なかい りけん) 随筆 寛政‐文化頃
4. あら まほし
日本国語大辞典
親見出し
5. あらまほし-げ
全文全訳古語辞典
〔形容動詞ナリ活用〕《「げ」は接尾語》望ましいようす。理想的。 「御心とどめさせ給ひけるほどしるく見えて、いとあらまほしげなり」〈源氏・早蕨〉(匂宮が侍女の部屋
6. あらまほし‐げ【有─】
日本国語大辞典
おぼえあるこそ、法師もあらまほしげなるわざなれ」*源氏物語〔1001~14頃〕早蕨「御しつらひなどあるべきかぎりして、女房のつぼねつぼねまで御心とどめさせ給ける
7. あらまほし‐さ【有─】
日本国語大辞典
〔名〕(形容詞「あらまほし」の語幹に接尾語「さ」の付いたもの)そのようにありたいこと。ありたい度合。すばらしさ。*枕草子〔10C終〕二七八・関白殿、二月廿一日に
8. 人は百年の貯えこそあらまほしけれ
故事俗信ことわざ大辞典
人は非常の時に備えて、常に貯蓄をすることが望ましい。 浮世草子・日本新永代蔵(1713)五・五「ふるきたとへに、人は百年のたくはへこそあらましけれといはずや、商
9. あい‐な・し
日本国語大辞典
かるがるしき御忍びありきも、あいなうおぼしなりて、ことにし給はねば、いとのどやかに、今しもあらまほしき御有様なり」(6)おもしろみがない。かわいげがない。情緒が
10. 葵(源氏物語) 69ページ
日本古典文学全集
いとつれづれにながめがちなれど、何となき御歩きもものうく思しなられて思しも立たれず。姫君の何ごともあらまほしうととのひはてて、いとめでたうのみ見えたまふを、似げ
11. あかさかじゅく【赤坂宿】愛知県:宝飯郡/音羽町
日本歴史地名大系
も越えぬれば、赤坂宿と聞えけり。三河入道大江定基が、此の宿の遊君力寿と云ふに後れて、真の道に入る事もあらまほしくや思召しけん」と記し、赤坂宿の遊女のことを伝えて
12. 明石(源氏物語) 238ページ
日本古典文学全集
仏神をいよいよ念じたてまつる。年は六十ばかりになりたれど、いときよげに、あらまほしう、行ひさらぼひて、人のほどのあてはかなればにやあらむ、うちひがみほれぼれしき
13. 総角(源氏物語) 228ページ
日本古典文学全集
かかることには憎きさかしらも言ひまぜて言よがりなどもすめるを、いとさはあらず、心の中には、あらまほしかるべき御事どもをと思へど、弁「もとより、かく人に違ひたまへ
14. 総角(源氏物語) 231ページ
日本古典文学全集
さりともあしざまには聞こえじと、まかせてやは見たまはぬ」など言ひゐたまへり。老人、はた、かばかり心細きに、あらまほしげなる御ありさまを、いと切に、さもあらせたて
15. 総角(源氏物語) 248ページ
日本古典文学全集
たるを、思ひしに違ふさまなる御心ばへのまじりて、恨みたまふめるこそわりなけれ。世に人めきてあらまほしき身ならば、かかる御事をも、何かはもて離れても思はまし。され
16. 総角(源氏物語) 259ページ
日本古典文学全集
六条院にぞ移ろひたまへれば、近くては常に参りたまふ。宮も、思すやうなる御心地したまひけり。紛るることなくあらまほしき御住まひに、御前の前栽ほかのには似ず、同じき
17. 総角(源氏物語) 333ページ
日本古典文学全集
、心きたなき聖心なりける。人々近く呼び出でたまひて、物語などせさせたまふけはひなどの、いとあらまほしく、のどやかに心深きを見たてまつる人々、若きは、心にしめてめ
18. 朝顔(源氏物語) 470ページ
日本古典文学全集
御けはひ、咳がちにおはす。このかみにおはすれど、故大殿の宮はあらまほしく古りがたき御ありさまなるを、もて離れ、声ふつつかにこちごちしくおぼえたまへるもさる方なり
19. 朝顔(源氏物語) 473ページ
日本古典文学全集
暗うなりたるほどなれど、鈍色の御簾に黒き御几帳の透影あはれに、追風なまめかしく吹きとほし、けはひあらまほし。簀子はかたはらいたければ、南の廂に入れたてまつる。宣
20. 朝顔(源氏物語) 488ページ
日本古典文学全集
つれなき御気色のうれたきに、負けてやみなむも口惜しく、げにはた、人の御ありさま、世のおぼえことにあらまほしく、ものを深く思し知り、世の人のとあるかかるけぢめも聞
21. 排蘆小船(近世随想集) 318ページ
日本古典文学全集
されば同じ風雅に従事せんとならば、人の国の回り遠き詩より、吾が邦自然の和歌に心を用ひんことこそあらまほしきことなり。これ愚按の存する旨なり。されども人心はその面
22. 東屋(源氏物語) 41ページ
日本古典文学全集
食物もところせきまでなん運び出でて、ののしりける。下衆などは、それをいとかしこき情に思ひければ、君も、いとあらまほしく、心賢くとり寄りにけりと思ひけり。北の方、
23. 東屋(源氏物語) 42ページ
日本古典文学全集
き人なれば、参る時は恥ぢたまはず、いとあらまほしく、けはひことにて、若君の御あつかひをしておはする御ありさま、うらやましくおぼゆるもあはれなり。我も、故北の方に
24. あなごん‐どう[‥ダウ]【阿那含道】
日本国語大辞典
〔名〕仏語。阿那含果への修行過程。→阿那含。*宴曲・宴曲集〔1296頃〕五・閑居釈教「さても
あらまほしく、うら山敷類は、須陀
斯陀含
25. あゆみ‐い・る【歩入】
日本国語大辞典
階(はし)の間に梅(むめ)いとをかしう咲きたり」*源氏物語〔1001~14頃〕浮舟「えぼうし直衣の姿あらまほしく、清げにてあゆみいり給ふよりはつかしげに」*増鏡
26. アラビアン・ナイト 8 80ページ
東洋文庫
、ご門の扉にはつぎのような二連句の詩が書きつけてありました。宮殿よ とこしえに 安らかに あらまほし運命は うつくしの 晴れ着をぱ うちかけし。すべて世の おど
27. あり-さま【有様】
全文全訳古語辞典
徒然草 一 いでや、この世に(3) 「には〈連語〉」人は、かたち・有様のすぐれたらんこそ、あらまほしかるべけれ。物うち言ひたる聞きにくからず、愛敬ありて、言葉多
28. いえ‐い[いへゐ]【家居】
日本国語大辞典
わが心もてはかなき御調度どもなども、とり失はせ給はず」*徒然草〔1331頃〕一〇「家居のつきづきしく、あらまほしきこそ、仮(かり)の宿りとは思へど、興あるものな
29. いえ の 君(きみ)
日本国語大辞典
ノきみ)の御心の林なり」*能因本枕草子〔10C終〕三一一・品こそ男も女もあらまほしき事なめれ「しなこそ男も女もあらまほしき事なめれ。家の君にてあるにも、誰かはよ
30. いし‐うす【石臼】画像
日本国語大辞典
、石臼にても足りなむ。何事か主用に立べきもしらねばなり。専門の者は、其委くきはめんことこそあらまほしき」*滑稽本・当世真々乃川〔1785〕三「多くは六つき、石臼
31. 和泉式部日記 63ページ
日本古典文学全集
なさけなからずをかしとおぼす。宮の御さまいとめでたし。御直衣に、えならぬ御衣、出し袿にしたまへる、あらまほしう見ゆ。目さへあだあだしきにやとまでおぼゆ。またの日
32. いずれ か
日本国語大辞典
づれか狐なるらんな。ただはかられ給へかし」*徒然草〔1331頃〕一八八「一生のうち、むねとあらまほしからん事の中に、いづれかまさるとよく思ひくらべて」(ロ)反語
33. いたずら に なす
日本国語大辞典
ぼしとりて、なほ出で給へ』とせちにのたまへど」*狭衣物語〔1069~77頃か〕三「いとかくあらまほしからぬ有様を見つつ、この心を、いたづらになしつるは、仏は、あ
34. いなび‐の【稲日野】
日本国語大辞典
後撰和歌集〔951~953頃〕恋六・一〇〇九「かり人のたづぬる鹿はいなひのに逢はでのみこそ
あらまほしけれ〈よみ人しらず〉」[発音]
[0]
35. いなみの【印南野】兵庫県:加古川市/旧印南郡地区
日本歴史地名大系
といふともここをすぎめや」(拾遺和歌集)、「かり人のたづぬるしかはいなびのにあはでのみこそあらまほしけれ」(後撰集)など。「枕草子」の「野は」の段にも京都の嵯峨
36. い‐にょう[ヰネウ]【囲繞】
日本国語大辞典
而囲繞」*康頼宝物集〔1179頃〕上「我は常に国王として大臣公卿に囲遶せられ、百姓万民に仰がれてぞあらまほしき」*曾我物語〔南北朝頃〕二・泰山府君の事「人民こぞ
37. いへ-ゐ【家居】
全文全訳古語辞典
その住まい。住宅。 徒然草 一〇 家居のつきづきしく(1) 全文用例 家居のつきづきしく、あらまほしきこそ、仮の宿りとは思へど、興あるものなれ。よき人の、のどや
38. いま‐しも【今─】
日本国語大辞典
見奉りし心地するかな』といふに」*源氏物語〔1001~14頃〕賢木「いとのどやかに、いましもあらまほしき御ありさまなり」*田舎教師〔1909〕〈田山花袋〉一五「
39. いま の 上(うえ)
日本国語大辞典
うへに御かはらけ参り給ふ」*栄花物語〔1028~92頃〕月の宴「かくていまのうへの御心ばへあらまほしく、あるべき限おはしましけり」[辞書]言海
40. いん‐ごう[ヰンガウ]【院号】
日本国語大辞典
上東門院、陽明門院等、可被因准何例」*大鏡〔12C前〕二・師尹「院号給ひて、年に受領などありてあらまほしきを」*平家物語〔13C前〕一・吾身栄花「王子御誕生あり
41. 浮舟(源氏物語) 142ページ
日本古典文学全集
などして、夕つ方、ここには忍びたれど、これはわりなくもやつしたまはず、烏帽子、直衣の姿いとあらまほしくきよげにて、歩み入りたまふより、恥づかしげに、用意ことなり
42. 浮世物語(仮名草子集) 158ページ
日本古典文学全集
…よろづの道具いかにもあたらしくきれいなるを用い、思ふどちかいつらねて…茶をのみ心無為なるこそあらまほしけれ」(可笑記・巻一)を利用して言いかえた行文。作者に剽
43. 浮世物語(仮名草子集) 181ページ
日本古典文学全集
ほまれを取り、家をもおこし我が身を立てて、末久しく栄へんこそあらまほしけれ。たとひその親よく仁義の道をつとめて、もしは一国一郡の主となり、政すなをに恵みひろく行
44. 薄雲(源氏物語) 437ページ
日本古典文学全集
心の中には思ふこともやあらむ、うはべは誇りかに見ゆるころほひなりかし。東の院の対の御方も、ありさまは好ましうあらまほしきさまに、さぶらふ人々、童べの姿などうちと
45. 薄雲(源氏物語) 440ページ
日本古典文学全集
みづからのけはひなどは、見る度ごとに、やむごとなき人々などに劣るけぢめこよなからず、容貌、用意あらまほしうねびまさりゆく。ただ世の常のおぼえにかき紛れたらば、さ
46. 薄雲(源氏物語) 458ページ
日本古典文学全集
斎宮の女御は、思ししも著き御後見にて、やむごとなき御おぼえなり。御用意、ありさまなども思ふさまにあらまほしう見えたまへれば、かたじけなきものにもてかしづききこえ
47. うずもれ ぬ 名(な)
日本国語大辞典
うづもれぬ名をみるぞ悲しき」*徒然草〔1331頃〕三八「うづもれぬ名を長き世に残さんこそ、あらまほしかるべけれ」
48. うら‐やか【麗─】
日本国語大辞典
心にあふも、あはぬをも、ただうらやかに、にくげなく、其興に随ひ、心すなほに、ことばすくなきこそあらまほし」*延宝八年合類節用集〔1680〕八「柔従 ウラヤカ」*
49. 絵合(源氏物語) 373ページ
日本古典文学全集
たまへり。よき女房などはもとより多かる宮なれば、里がちなりしも参り集ひて、いと二なくけはひあらまほし。あはれ、おはせましかば、いかにかひありて思しいたづかまし、
50. 絵合(源氏物語) 375ページ
日本古典文学全集
おのづからほの見えたまふついでもあらめ、心にくき御けはひのみ深さまされば、見たてまつりたまふままに、いとあらまほしと思ひきこえたまへり。かく隙間なくて二ところさ