硬骨魚綱ヒメ目エソ科に属する海水魚。南日本(三重県海域、土佐湾)、東シナ海、南シナ海、チモール海、アラフラ海、ハワイ諸島など西部・中部太平洋に分布する。体は紡錘形で、頭部はやや縦扁(じゅうへん)し、尾部でわずかに側扁する。吻(ふん)の背面はわずかにくぼむ。吻の先端は鋭くとがり、長さは幅よりもわずかに大きい。前鼻孔(ぜんびこう)に短い截形(せっけい)(後縁が上下に直線状)の皮弁(皮質突起)があり、倒すと鼻孔の縁辺をわずかに越える。上顎(じょうがく)は下顎よりもわずかに突出する。上下両顎歯は犬歯状で、上顎に2列、下顎に3列に並ぶ。口蓋(こうがい)部の歯は細長いV字状で、前部と後部で2列、中央部で3列。前部の歯はとくに大きくはなく、不連続歯群を形成しない。舌上に30本ほどの小歯がある。体、頬(ほお)、鰓蓋(さいがい)は大きい円鱗(えんりん)で覆われるが、きわめてはがれやすい。側線鱗数は59~62枚、側線上方横列鱗数は3.5枚。背びれは10~11軟条、臀(しり)びれは9~10軟条。臀びれ基底長(付け根の部分の長さ)は背びれ基底長の約70~80%。胸びれは短く、背びれ起部と腹びれ起部を結ぶ線に達しない。腹びれの内側の軟条は外側の軟条よりも著しく長く、背びれ基底後端に達するか、またはわずかに達しない。体は背方が灰褐色で、腹方が白色を帯びる。背側面に8~10個の長方形の暗色斑(はん)があり、それらの間にも小さい斑紋が並ぶ。腹びれ起部から肛門(こうもん)の間の腹中線上に黒色の帯状斑が透けて見える。水深約50~700メートルの砂地や貝殻混じりの砂地にすむ。全長は29センチメートルに達する。トロール網で漁獲され、肉は白身で、練り製品の原料にされる。