硬骨魚綱ヒメ目エソ科に属する海水魚。相模(さがみ)湾から屋久島(やくしま)の太平洋沿岸、小笠原(おがさわら)諸島、南西諸島、台湾南部など太平洋とインド洋に分布する。体は細長く、円筒形。尾柄(びへい)部に側方へ張り出す隆起がない。前鼻孔(ぜんびこう)の後縁に三角形の皮弁(皮質突起)がある。口は大きく、上顎(じょうがく)の後端は目をはるかに越えて後方に伸びる。上下両顎歯は太くて短い円錐歯(えんすいし)で、広い歯帯を形成する。口蓋(こうがい)部の外列歯は後方のものより先端部のもののほうが大きい。内列歯はおよそ3列またはそれ以上ある。鋤骨(じょこつ)(頭蓋床の最前端にある骨)に小さい歯帯がある。舌上の歯はほかの部位の歯に比べて小さい。鰓葉(さいよう)に暗色の色素をもたないものが多い。側線鱗(りん)数は45~49枚、側線上方鱗数は3.5枚。背びれは10~11軟条、臀(しり)びれは9~10軟条。胸びれは13軟条で、その後端は腹びれ基底(付け根の部分)後端を越える。体は背面では淡褐色で、9~10個の黒褐色の横帯のほかに不定形の斑紋(はんもん)がある。腹面は銀白色。すべてのひれの軟条に斑紋がある。脂(あぶら)びれ(背びれの後方にある1個の肉質の小さいひれ)の中央部と先端部に黒斑がある。最大全長は約25センチメートル。サンゴ礁の周辺、礁湖や礁池の砂地にすむ。
本種はウチウミマダラエソS. nebulosaに似るが、ウチウミマダラエソは胸びれの後端が腹びれの基底後端を越えないこと、体側に横帯がないこと、口蓋部の内側の歯帯が2列に並ぶこと、胸びれが12軟条であることなどで本種と区別できる。また、ウチウミマダラエソは濁りのある内湾や河口域に生息し、体長は18センチメートル以下の小形種(本種は20センチメートル以上になる)である。