硬骨魚綱ヒメ目エソ科に属する海水魚。東京都沖から鹿児島湾、台湾、フィリピン北東部、インドネシア南部などの海域に分布する。体は細長く、側扁(そくへん)し、柔らかくて肉質。尾柄(びへい)はきわめて低い。体の前半部は側線鱗(りん)を除いて鱗(うろこ)をかぶらない。体の鱗は皮下に埋没した小さい円鱗で、背びれと脂(あぶら)びれ(背びれの後方にある1個の肉質の小さいひれ)の間より後方が覆われる。側線鱗数は52~60枚で、薄くて皮下に埋没し、互いに重ならなく、尾びれの中央部の軟条の上まで達する。背びれは体の中央部に位置し、13~14軟条、臀(しり)びれは14~16軟条。両ひれの基底長(付け根の部分の長さ)はほとんど同長。脂びれは大きく、臀びれの中央部の上方に位置する。胸びれは著しく短く、頭長のおよそ3分の1で、腹びれの起部に達しない。腹びれは短く、9軟条で、内側の軟条は外側の軟条とほとんど同長か、それよりわずかに長くて、その後端は背びれ基底の後端下に達しない。体は背面では暗褐色で、側面に向かって淡くなり、腹面では銀色になる。水深500~600メートルの砂泥底にすみ、トロール網でとれる。駿河(するが)湾でサクラエビ網に入ることがある。体長は30センチメートルになる。肉質が柔らかすぎるため、食用魚としてあまり重要ではない。
本種が属するミズテング属は、日本では有明海からもう1種、テナガミズテングH. nehereusが知られている。テナガミズテングは胸びれが長く、先端が背びれの起部に達すること、背びれが11~13軟条、側線鱗数が41~45枚であることなどで本種と区別される。