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山口県下関(しものせき)市と北九州市門司(もじ)区を結ぶ高速道路である関門自動車道の関門海峡最狭部の早鞆ノ瀬戸(はやとものせと)に架かる長さ1068メートルの吊橋(つりばし)。吊橋の規模を表す主塔間の距離である中央支間長は712メートルであり、1968年(昭和43)に着工し、1973年に完成したときには東洋一の長さを誇った。その後の本州四国連絡橋の建設をも見据えて、多くの橋梁(きょうりょう)技術者が吊橋建設の新しい技術に挑んだ。全長おおよそ1160メートルあるケーブルは、直径5.04ミリメートルの高強度ワイヤを91本束ねたストランドstrand(子綱ともいう)をあらかじめ工場で製作、リールに巻き付けて現場に搬入し、それをキャットウォーク(吊り足場)上に引き出しながら架設していくプレハブストランド工法が日本で初めて使われた。片側ケーブルに154本のストランドが使われ、最終的に直径約67センチメートルのケーブルとなっている。また、トラス形式の補剛桁(ほごうげた)は、主塔から中央に向かってトラスブロックを張り出し架設すると同時に、ボルトで接合する逐次剛結工法も日本で初めて使われた。これにより、架設時の耐風安定性と架設精度の向上が図られた。